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そこで当時、成増に住んでいたので、池袋近辺にある美容室で働けないか求人を探してみました。
そこで出逢ったのが「アンククロス」だったのです。
サロン見学に行った日に衝撃的な出会いがありました。
加藤秀夫氏、アンククロスの社長です。
当時、業界では名の知れた方だったのですが、自分が業界にいながら全く興味が無かったので全然知らなかったのです。が、業界誌を見たらやたらと出ていることに後から気づき、お店にはトロフィーも山ほどありました。
加藤氏も理容出身の人だったので、自分にとっても好都合なお店ではありました。理容を生かしながら美容の勉強も出来る環境だったのです。
そこで見たものが
「あ、この人いい仕事するな。かっこいい仕事するな。」
ほんとに、衝撃というか感動。すごい人だと思いました。
技術力も半端じゃない。
加藤氏と彼の仕事を目の前にした時・・・
この人の下で働きたい、この人のスキルを学びたいという想いが自分の中で生まれてきたのです。
こうした出逢いから、縁を結び、アンククロスに勤めることとなりました。
ようやく、美容師早川としてのスタートラインに立てたのです。
そこで面接の履歴書を見ながら加藤氏に言われた言葉
「けっこう店変わってんね?どうせすぐ辞めるんだろう?」
実際それが事実だったので何も言えませんでしたが、逆に自分も意地になって
「ぜってぇ辞めてやんねぇ!!」と思いました。
19歳から美容師になりたいと思っていて実に約5年の年月が経ち、やっとこ美容師としてスタートすることになったのですが・・・
加藤氏のサロンワークに深い感銘を受けた早川は、アンククロスに入店しました。
美容師としての第一歩を東京のど真ん中にある有名サロンでスタートさせたのです。
しかしそれは、大きな大きな壁にぶちあたることになります。
これまで少なからず理容師としてサロンに立っていたにも関わらず、美容師としては全くの新人になってしまったのです。アンククロスでは今までやってきたメンズのカットですら、全ての仕事が通用せず、唯一出来ることと言えば、掃除くらいしかありませんでした。
年下のスタッフもいる中、営業中もひたすら雑用・掃除・片付け・・・この時初めて自分のプライドを捨てました。
それに、理容と美容の違いはいろいろとありますが
・・・やはり「女性を接客する」ということが一番大きな壁だったように想います。
何を話せばいいのか、彼女たちが満足するためにどうしたらいいのか・・・
とにかく分からないことが沢山ありました。
似ているようで違う理容師と美容師。
想った以上の双方のギャップに戸惑わずにはいられなかったのです。
ここから早川は大きなスランプに陥りました。
「加藤氏のスキルを学びたくてここにきた。なのに自分は掃除以外の何も出来ない。ど素人じゃないか。」
彼のようなかっこいい仕事が出来るスタイリストになりたい。でも自分には実力がない。
悔しい。
とにかく仕事は全て一から基本から学ぶことしか出来ませんでした。
そこで、加藤氏の自宅に泊り込みをさせていただきました。
そこでとりあえずカットカットカット。
死ぬほどカットの練習を始めたのです。
ウィッグ然り、友達の女の子もみんな長かったのに気づいたらみんなショートカットになっていました。
仕事中は掃除をしながら加藤氏のサロンワークを必死で盗み見て、夜はひたすらその練習。
とにかくがむしゃらな毎日が過ぎていきました。
その後、少しずつではありますがお客様も増えてきたのですが、まだスランプは真っ最中でした。実は2~3年はスランプの渦中にいたのです。
少しずつ少しずつお客様は増えてきましたが
まだまだスランプの中からは抜け切れていませんでした。
自信がないんです。
女性なのにショートカットはどうしてもメンズっぽくなる、ロングスタイルもカットがよく分からない。ロールブラシも上手く使えない。
納得がいかない結果の毎日に苦しさは増していきました。
加藤さんのような技術力は自分にはない・・・自分が負けないものって何だろう・・・
美容師として自信をつけていくために何をすべきか。
考えた結果が「自分のキャラで勝負する」ということでした。
技術力はかなわない。
だからこそ、自分のキャラクターでお客様を楽しませようと考えたのです。
フリーのお客様を担当させていただき、その人その人の性格や個性を感じ取って、スタイルに反映させていくようにしました。並行してお客様のご友人やご家族の方々もご紹介いただくようアピールもしていきました。
もちろん、並行して技術力を磨くこともおこたりませんでしたし、コミュニケーションも大切にしてきました。
すると、少しずつお客様が増え、気づいたときには目標の指名数をいただけるようになっていました。
今でも早川を指名し、来店くださるお客様がいます。
皆様のおかげで、スタイリストとして今も仕事ができているのだと思っています。
一時は、本気で美容師を辞めようと思い、加藤氏に「美容師を辞めようと思う」と打ち明けたこともありました。
でもその時に
「ま、もう少しやってみろ~」と励まされ、紆余曲折しながらも美容師を続けて来れました。
挫折をしている中でも、少なからず自分指名のお客様が少人数ながら来てくださるお客様がいて、一日わずかなお客様のためにも、凹んでられないなと思い、一生懸命な毎日。
こうして周りの方々の助力もあって、自分は今もこの理美容師という天職について仕事が出来ているのだと思っています。